宮城県耳鼻咽喉科医会からのお知らせ

2019年のスギ花粉の対策

 スギ花粉の季節がやってきます。昨年の仙台市の総飛散数は10,544個と過去最高の超大量飛散でした。1日に一昨年の総飛散数に匹敵する花粉が飛んだ日もあり、一時市内の耳鼻咽喉科はパンク状態におちいりました。今年はNPO花粉情報協会の発表によれば、宮城県では落ち着いた感じになるようです。

 しかし昨夏の気象条件、現時点でのスギ花芽の着花状況を観察すると、5,000個以上の大量飛散と考えられ、全く油断はできません。暖冬のため飛散開始は例年より早く2月中旬以降か、それより早まる可能性もあります。また、飛散期間が長い年もあるので、シーズン終盤に花粉が減ってきても、これで終わったと思わないで治療を継続しましょう。

 スギ花粉症は三大症状のくしゃみ、鼻水、鼻づまりと並んで目のかゆみ、喉の症状、そして睡眠障害、倦怠感、集中力低下を招きます。いつも通り初期療法、セルフケア(マスク、ゴーグル、スプレー、空気清浄機)、こまめな花粉情報のキャッチなど充分な対策をとりましょう。

 飛散が始まりクリニックが混む前にお薬を処方してもらい、服薬開始時期は主治医の指示に従うと良いでしょう。近年は簡易式の鼻洗浄キットが知られるようになり、こちらも花粉を体内に入れないという意味で有効ですが、適切な使用法が望まれますので耳鼻咽喉科医に気軽にご相談ください。

 その他の花粉症対策としてヨーグルトが注目されています。薬剤以外で治したい方の間でとても人気ですが、発症前からの摂取が大切なようです。スギ花粉症の舌下免疫療法を実施中の方も、飛散期間中の適切な併用薬の選択をしてください。舌下免疫療法は3~5年の治療期間を要しますが、今年で5年目を迎える患者さんがそろそろ出てきます。

 治療の終了時期には熟慮が必要ですので主治医とよく相談し、自己判断でやめてしまわないよう注意してください。これから舌下免疫療法を検討している方は、効果や副作用の面から、スギ花粉のシーズン終了後からとなります。

スギ花粉症の基礎知識
     
  • スギ花粉の吸収を原因とする季節性のアレルギー性鼻炎です。
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  • 戦後、建材・治水を目的に全国に植林されたスギ林が成熟し、毎年大量の花粉を 飛散するため患者数が急激に増加してきました。
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  • 自然寛解が少なく患者数が年々累積され、現在では有病率15%程度と推定されていて、さらに増加傾向にあります。
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  • 主な症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみです。
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  • 年齢層別では中年層で有病率33~39%と高いですが、近年は高齢者の新規発症や、逆に発症の低年齢化が注目されています。

 文章 中林耳鼻咽喉科 中林成一郎先生